三叉神経痛
三叉神経痛とは
外来に受診される典型的な病歴は
「数年前からものを噛んだり、歯磨きをした時に右歯茎にビリッと激痛が走るようになったんです。」
「最初は虫歯かと思って歯医者さんに行って治療を受けたんですが、抜歯してもちっとも痛みが治まらないんです。」
「そのうち歯だけじゃなく、右の顔にまで痛みが走るようになって・・・」
「数年前から時々左頬にビリッと走る激痛が走るようになったんです。」
「あんまり気にしてなかったんですが、ひげ剃りした時や左の口の周りを触ると激痛が走る様になってきました。」
「ここ数ヶ月で痛みが続けて出るようになって・・・、痛みの出る時にはもうなんにも出来ないくらい痛いんです。」
「・・・・・・・」
(喋ると痛みが出てしまうので外来では全く喋られず、ご家族が病状の説明をして下さる)
時に非典型的な三叉神経痛もあります。
顔面の「ビリッとした」発作性の痛みではなく、持続する疼痛を主とするもの。
はっきりとした痛みの誘発ポイントが無い。
三叉神経痛の原因
非典型的な三叉神経痛は原因不明な事が多いですが、中にはヘルペスウイルスによる感染、多発性硬化症、脳腫瘍などが原因になっている事があります。
三叉神経痛の検査
画像検査
耳鼻科的検査
循環器科検査
三叉神経痛の治療
飲み薬以外の治療法
- 約6cm程の皮膚切開を行い、その下の頭蓋骨に500円玉大の穴を開けます。
- この先は小さな術野になりますので、手術用顕微鏡を使って行います。
- 小脳の表面を見ながら三叉神経がある部位まで到達します。周囲の血管、神経を傷つける事の無いように細心の注意を払って操作します。
- 三叉神経の周囲の原因となる血管を探し、これを三叉神経から剥がします。
- 剥がした後再び三叉神経を圧迫する事の無いようにフィブリン糊(献血血液から抽出した接着物質)で固定します。人工物を生体内部に留置しないことで、術後の癒着(固定した血管や神経が周囲の組織とくっつく事)などの可能性が低くなるとされています。
手術時間は通常約2時間程度で終わりますが、血管が何本も当たっている場合や、太い血管が当たっている場合など難しい症例によってはそれ以上に時間がかかる場合があります。
後に三叉神経痛が再発した際に手術を行っても神経ブロックによる顔面の痺れは改善しません。
当院では年間30例近くの脳神経減圧術(顔面痙攣も合わせた数です)を行っており、脳・脊髄センター医師3名は全て三叉神経痛の手術治療に携わっています。また、放射線治療であるサイバーナイフ治療も当院で行う事が出来ます。当院は日本で数少ない1カ所で手術、定位放射線治療ができる施設です。